ブログ

文化財修復プロジェクト

さかのぼること去年の11月

大阪府堺市にある文化財の屋根調査の依頼があった。

 

なんとそれは築90年、木造の洋館だという。

 

もちろん、現在作られている瓦とは規格が違うため

完全オリジナルで瓦の製作からはじまった。

 

 

 

左が陶器で今回特注した瓦

右は90年前のセメント瓦。

 

 

 

サイズぴったりにオーダーしたとはいえ

なかなかうまくは入らない。

 

 

そりゃ、下地の木もピッタリじゃないし当然と言えば当然。

 

 

付けては外し、削る。

また付けて、削る。

 

予想はしていたが

この繰り返しなので全然進まない。

 

 

ちなみにこの建物。

 

当時のヨーロッパと同じ工法で作られているため

野地板が無い。

 

野地板が無いということは

ルーフィング(防水シート)も無いわけで

 

瓦のみで雨水を防ぐ構造になっています。

 

 

これだけ急勾配なのでなかなか雨水は侵入しないとは思いますが。

 

現在の日本では野地板があるのが普通ですが

実はそれも一長一短。

 

この野地無し工法も同じく

一長一短なんです。

 

野地板が無いことにより通気性が非常に高く

 

90年前の建物とは思えないくらい、下地木の状態が良い。

木は空気を密閉させてしまうととても腐りやすいからなんです。

 

 

 

一つ一つ丁寧に瓦を留め付けていきます

 

 

何日も大阪に滞在しながらの工事。

途中で私も合流し現場の進捗状況などを確認。

 

 

ホテルで朝食をとりながらその日の工程を話し合います。

 

普段とは違う場所での仕事は様々な刺激があります。

 

 

 

リフォームとは全く違う修復という仕事。

 

リフォームはじ元の状態よりきれいにすることが求められますが

修復はより元の状態に近づけることが求められます。

 

 

とても大変でしたがとても楽しく

屋根に関しては半年間にわたるプロジェクトが終了したのでした。

 

 

 

 

真剣勝負の半年間

エキサイティングな仕事でした!